歯周病は、歯茎が炎症を起こし、炎症が進行すると歯を支えている骨が溶けて健康な歯が次々に抜けてしまう感染症です。口腔内には約500億の細菌がいるとされていて、歯周病を起こす細菌はプラークや歯石などに特にたくさん生息しています。歯茎の炎症が進行すると歯と歯茎の間にある歯周ポケットというスペースが深くなり、プラークや歯石がそこにたまって深部に歯周病が広がっていきます。
歯周病を起こす細菌は嫌気性で酸素が苦手なので、プラークや歯石のある歯周ポケットは快適な住処になります。歯肉炎を放置していると歯茎の炎症は歯周ポケットの奥へと進行して、歯周ポケットの深さが3~4mm程度になってしまった状態が軽度歯周炎の状態です。歯茎だけでなく、歯を支える組織も破壊されていくため、できるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。歯茎の腫れ、歯磨きの際の出血に加え、冷たい物がしみるといった症状も起こることがあります。
さらに歯周病が進行して歯周ポケットの深さが約4~6mm程度になっています。歯周ポケット内にはプラークや歯垢がたまり、細菌が増殖しやすい環境になってしまっています。腫れや出血が悪化し、歯のぐらつきや悪臭、膿などの症状が現れることもあります。また、歯茎が痩せるため、歯が長くなったように感じることもあります。
歯を支える骨がすでにかなり溶けてしまっている状態です。歯の隙間が目立つようになり、食事の際に痛みを起こすこともあります。歯のぐらつきが強くなり、出血・膿・悪臭なども悪化します。放置していると歯周病末期になり、特に問題のない健康な歯が次々と抜けてしまいます。重度歯周病担った場合、治療には手術が必要になることもあります。
正しいケアや定期的な歯科受診を怠ることで歯周病は発症・進行しやすいのですが、それ以外にも発症や進行の要因になる物があります。歯茎など歯周組織に負荷がかかると歯周病を発症しやすくなりますので、食いしばりの癖や咬み合わせの乱れも歯周病のリスクになります。また、妊娠すると口腔内環境が変化して歯周病になりやすい傾向があります。つわりで歯磨きが難しくなる、授乳期に生活が不規則になって丁寧なケアができないと歯周病や虫歯のリスクが上昇します。
歯石の除去といった歯周病の基本的な治療を行っても歯周ポケットが残っている場合など、プラークコントロールが十分にできない状態に検討される治療法です。腫れの切除、歯肉を切開して歯根をきれいにする、歯肉や歯槽骨など歯周組織を再生するなどの外科手術による治療を行います。
口腔内の細菌をできるだけ少なくして、その状態を長く保つことが基本になります。歯と歯の間、また歯と歯茎の間を弱めの力で入念にブラッシングし、歯間ブラシやフロスなどでしっかりきれいにしてください。また、歯周ポケット内などはご自宅での日々のケアでは除去が難しいため、定期的に歯科医院を受診して徹底的なクリーニングを受け、歯石をしっかり除去することが重要です。
PAGE TOP